■1日30品目
「1日30品目」というのは食事の内容が偏らずバランスよく食べるひとつの目安です。1日3食であれば1食につき10品目を目標にとればよいことになります。もちろん間食でもかまいません。シチューや五目ずしなどの具沢山なメニューや、薬味に工夫をするなど、少しの気配りで簡単に30品目とることができます。
■食事サイクル
食事の時間を一定にすることも大切です。不規則な食事は食べすぎにつながり肥満の原因ともなります。1日の食事サイクルを一定に保つように昼食と夕食の間に何か間食をとることも良いですが、朝食や昼食の時間を遅くするなどの工夫も大切です。
■必要エネルギーの基準
成人女子の1日の必要エネルギーは1800kcalです。妊娠初期にはプラス150kcal、妊娠後期にはプラス350kcal、授乳期はプラス700kcalの摂取が目安とされます。ただし、体を動かす機会の多い人、また少ない人は、それぞれ自分にあったエネルギーをとることが大切です。
エネルギーコントロールは体重測定と平行して行い、急激に体重が増加したら摂取エネルギーをおさえるようにしましょう。1日で500g〜1kgも増えたようであれば要注意です。
■食事日記のつけ方
妊娠4か月からは食欲でてくるので、エネルギーをコントロールしたり栄養バランスをとるためにも、食事日記をつけましょう。あまり細かく書くことはありませんので、メニューと主要食材、ご飯の量、間食したものを記入します。また、体重の記録も役立ちます。文字で記録するということは1週間単位でのバランスをみるためにも、また現実を受け止めるためにも有効な手段といえます。
■食事日記の利用法
食事日記は記録するだけでは意味がありません。それをもとに食生活を改善することが大切なのです。不足している栄養素に気づいたり、同じ栄養素でも違う食材からとるなどバランスの良い食事をするために役立ててください。
■ビタミンを逃さないコツ
特に水溶性のビタミンB1・Cをふくむ野菜はゆでるときはもちろん、材料を洗うときにも栄養素が流れ出てしまいます。水溶性ビタミンを多く残すには、電子レンジで下ごしらえをしたり材料を洗う時間を短くしたりすることなどの工夫が大切です。
■カルシウムを上手に取るコツ
カルシウムを上手にとるには魚の骨ごと食べられるように工夫しましょう。煮魚にするときは圧力鍋を使うと骨まで食べられるようになります。また、小骨をから揚げにするのも食べやすいでしょう。
■脂肪分を減らすコツ
肉は蒸したり、湯通ししたり、網焼きにすると脂を落とすことが出来ます。魚は塩焼きや、煮付け、ムニエルなどの調理法が良いでしょう。揚げ物にするときは材料を大きめに切ると衣の量が少なくすみます。フライパンを使うときにはテフロン加工のものを使用すると脂の量が少なく調理できます。
■調味料を控えるコツ
薄味にするということは、薄味を感じさせない工夫をすることがポイントです。塩や砂糖は薄く表面にかけることで少量でも味をよく感じることができます。焼き物では焦げ目をつけたり、煮物の場合はしょう油を最初から入れるよりも仕上げに入れたりすることによって調味料の使用量を減らすことが出来ます。
■エネルギー量のめやす
ご飯を茶碗半分(55g)と食パン1枚(6枚切り)のエネルギーは、同じ80kcalです。
各調味料大さじ1のエネルギーは、サラダ油が120kcal、バターが97kcal、マヨネーズが93kcal、みりんが42kcal、砂糖が35kcalです。しょう油は10kcalですが、減塩しょう油は少しエネルギー量が大きく12kcalです。みそは白味噌のほうがエネルギーが大きく39kcalで、赤味噌は33kcalです。
■食塩のめやす
食塩は1日10g以下、できれば7gにおさえましょう。
小さじ1杯の食塩は約5g。1日の3分の2の摂取量に相当します。各調味料にも塩分が含まれていますので、調理の際には計量スプーンをきちんと使い塩分量を調節することが大切です。
食塩1gが含まれる各調味料の量は、化学調味料が小さじ1/2、薄口しょう油が小さじ1、減塩しょう油が小さじ2、バターが大さじ5です。
■衛生面に注意する
妊娠中は食中毒、感染症に注意しましょう。生肉は食べないほうが無難です。豚肉や牛肉にはトキソプラズマ原虫が寄生していることがあり、感染すると赤ちゃんに悪影響がでないとはいえません。
また、生肉を切った包丁やまな板は1度洗ってから再度使用してください。調理後の調理器具の消毒も大切です。まな板は洗ってよく乾燥させ、包丁は洗ってから熱湯をかけます。フキンやスポンジは漂白剤につけることで除菌できます。当然のことですが調理前の手洗いも大切です。
■冷蔵庫・電子レンジを利用する
調理してから食べるまで時間があるものはケースに入れて冷蔵庫で保存します。冷蔵庫に入れた残り物は再度加熱をしてから食べます。少し古くなったものは迷わず捨てるようにしてください。
電子レンジは殺菌面で効果がありますが、食品の中心温度が75度以上になることが殺菌の目安となります。加熱時間が短いと中まで熱が通っていない場合がありますのできちんと確かめることが必要です。
■外食時の食事管理
たまに外食をするのも気分転換になってよいでしょう。その分前後の食事で必要栄養素がとれるように過不足を調節してください。
仕事をしている人などで毎日外食をとる人は、メニューの選び方、食べ方に工夫が必要です。一般的に丼物よりは定食のほうに野菜が多く使用され、栄養のバランスが良い食事といえるでしょう。また、そばやうどんなどにも野菜サラダや煮物などを単品でつけたり、さらにつゆを残したりする気配りが必要です。
ファーストフード店を利用する場合も飲み物をコーラから牛乳に替えたり、つけあわせをフライドポテトから野菜サラダに替えたりする工夫をしましょう。
■インスタント食品を上手に使う
食事の準備が大変なときはインスタント食品、冷凍食品を上手に利用してみましょう。最近はさまざまな製品があり何種類か食べ比べてみるのも楽しいものです。
食材を調理してレトルトのソースをかけるタイプのものは自分で調理するのと栄養的にはあまり差がありません。ただし塩分が多いので出来ればソースの量を少なめにすると良いでしょう。パスタソースなどは自分で野菜や挽き肉などの材料を加えると栄養バランスが良くなります。ラーメンは、乾燥タイプのもは極端に塩分が多いのでおすすめできません。生タイプのものに替えて冷凍食品など具をふやす工夫をしましょう。もちろん汁は薄めにします。
総じて摂取エネルギーに気を配り、栄養の偏らない食事に心掛けましょう。
■冷凍保存を上手に利用する
料理や下ごしらえした食材を冷凍保存しておくと調理の時間と手間が省けます。煮物やシチューなどは多めに作って半分を冷凍保存しておくと良いでしょう。野菜は下ゆでしてから冷凍保存すると冷凍食品感覚で利用することが出来ます。ご飯も茶碗1杯ずつの量をラップで包み冷凍保存します。スープやダシもたくさん作って製氷機などを利用して冷凍保存することが出来ます。解凍には電子レンジを利用し、調理品は1週間、素材は1か月以内を目安に食べきりましょう。白菜やキャベツ・豆腐・卵・こんにゃくは冷凍に向きません。
■缶詰・加工品を利用する
下味のついた缶詰や加工食品も上手に利用しましょう。ツナ缶などはノンオイルタイプを使い、汁をしぼってから使います。塩味は缶詰の塩分をうまく活かして調理すると良いでしょう。他にはトマトの水煮缶・コーン・大豆・デミグラスソースなどの缶詰も便利です。
ハムやソーセージなどの加工品は脂身や塩分の少ないものを選びます。ベーコンは油をひかずに炒め、カリカリベーコンにすることによって脂肪分を落とせます。これらの肉加工品は湯通しすると脂肪や塩分が少なくなります。かまぼこやちくわといった練り製品も湯通ししてから使うと良いでしょう。