■さい帯の役割
母親が取り入れた栄養は、血液となり胎盤へと送られます。胎盤はさい帯(へその緒)でお腹の中の赤ちゃんと繋がっていて、さい帯を通じて赤ちゃんに栄養を送っています。また、さい帯には老廃物を母体に戻す役割もあります。
■特に重要な栄養素
妊娠をすると母体や赤ちゃんの体や骨をつくるために、たんぱく質とカルシウムを十分にとることが大切です。さらに妊娠中の母親は便秘や貧血気味になることがあるため、食物繊維や鉄分も意識的にとることが必要です。ビタミン類は赤ちゃんの成育にも大切な栄養素ですが、特に妊娠後期から授乳期の母親にはビタミンAが急激に必要となってきます。また妊娠中毒症をおこしやすくなるため、塩分・水分の取りすぎには注意が必要です。
■たんぱく質の役割
たんぱく質は赤ちゃんの体を形成するために必要な栄養素です。特に妊娠後期のたんぱく質不足は妊娠中毒症をひきおこす原因ともなります。
■良質なたんぱく質とは
たんぱく質は各種アミノ酸によってつくられており、良質なたんぱく質とは必須アミノ酸(体の中でつくられないアミノ酸)を多く含んでいる食品のことです。たんぱく質には動物性たんぱく質と植物性たんぱく質とがあり、必須アミノ酸は両方を摂取することによりまんべんなく取り入れることができます。
■良質なたんぱく質の多い食品
動物性たんぱく質では肉・魚介・卵などからとることができます。牛乳やチーズなどの乳製品からも多くのたんぱく質をとることが出来ます。
植物性たんぱく質は豆類から必須アミノ酸の多い良質なたんぱく質をとることができます。豆腐やがんもどき、おから、小豆など意外と種類が豊富です。
■カルシウムの役割
カルシウムは、赤ちゃんの骨を作るため、また血液の重要な成分となる大切な栄養素です。妊娠中にカルシウムが不足すると赤ちゃんの発育の妨げとなり、流産、早産、出産時の異常出血の原因となる場合もあります。カルシウムを上手に摂取するポイントは、一度にたくさんの量を摂取せずに、毎日の食事に取り入れることが大切です。特に妊娠後期にはたくさんのカルシウムを摂取する必要があります。
■カルシウムの多い食品
カルシウムの多い食品には、小魚・卵・豆腐・牛乳などがあり、特に牛乳は体内での吸収率が良い食品です。1日コップ1杯で必要量のカルシウムが摂取できます。また、ビタミンDや良質なたんぱく質と一緒にとることにより体内での吸収率を高めることができます。
■鉄の役割
鉄は、お腹の中の赤ちゃんの血液をつくり、母体の貧血を防ぐために大切です。
■鉄分の多い食品
鉄を含む食品としてよく知られているのはレバーです。特に豚レバー・鶏レバーに多く含まれています。
その他、ほうれん草などの緑黄色野菜や、アサリなどの貝類にも多く含まれています。
鉄の吸収を良くするためには、ビタミンC、葉酸、などと一緒にとるとよいでしょう。
■食物繊維の役割
妊娠をするとホルモンの関係で腸の働きが鈍くなり、また子宮が大きくなることで腸が圧迫されるため便秘をしやすくなります。肥満・便秘を防ぐため食物繊維を多く含む食品をとるよう心掛けましょう。
■食物繊維の多い食品
食物繊維には水溶性と不溶性の食物繊維がありできるだけ両方を毎日とることが大切です。水溶性食物繊維は、乾燥ワカメやひじきなどの海藻類に豊富に含まれています。不溶性食物繊維の多い食品には、サツマイモやごぼうなどの根菜があります。